その日は一人で帰った。

まだ明るい時間帯だったし、人通りの多い道を通った。



カサッ


「?!」


だけど、さっきからずっと誰かにつけられてある気がする。


あたしが後ろを振り向くといないのだけれど、誰かがずっとこちらを見ているように感じてしかたない。



「もーヤダぁ…」



いつも隣には尚がいたし、一人で帰ったことなんてなかったから余計不安。


でも、尚とは喧嘩…しちゃったし。


あんなこと言っちゃったし。


違うのに。

あれが本音なわけじゃないのに。


八つ当たり…しちゃった。


尚…怒ってるだろうな。




―――わかってる。




あんな顔、初めて見た。


尚の苦しそうに歪めた表情が、今も頭から離れないよ…。




カサッ



「ひっ!!」



さっきよりも近いところから聞こえた物音に、あたしは急いで家の中に入った。



す、ストーカー?


どうしよう。

家、バレちゃったよ…。


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