彼氏キケン地帯




愛の言葉をたまには言ってほしい。


もちろん、素を見せてくれるようになった尚はストレート言ってくれるけど、どこか軽くて、ちょっと違う。


あたしが望むのは、まっすぐあたしの目を見て「すきだ」と言ってほしいのだ。


挨拶をするかのように軽くキスをして、その勢いで「すき」と言われることが嫌なわけじゃない。


でも、少し誠実さに欠けると思うの。


我が儘なのはわかってるけど、そんな尚をみたい。



「ちょ、無理だよ…」



ま、恥ずかしがり屋な尚が教室で言うなんて無理な話だ。


というより、こんなところで真顔で言われても、ちょっと可笑しい。



なんだか急に自分が何をしたいのかわからなくなった。



こんな空回りしたかったんじゃない。



尚が、尚があたしに黙っているから。


猫かぶりなんかするから。


あたしに触れてくれないから。



だからこんなことになっちゃったんじゃないか…っ!



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