頭の中にはてなマークがたくさん。
不良少年な尚に慣れてしまったあたしは、"尚くん"がこれだけ続くと、ドキドキを越えてハラハラしてきた。
「尚くん、変なものでも食べたのかな?」
半笑いでそう言ってみたけど、「あ゛?」という予想の反応はなく、「やだなぁ、食べてないよ〜」と可愛く笑う。
この反応に、クラスのみんなも驚いているにちがいない。
さっきからのほんわかした雰囲気を見て、みんな不思議なはず。
"猫かぶってる"なんて誰の目から見ても確かなはず。
転校生の神崎くんを除いて。
そう思って神崎くんを見ると、ばっちり目があってしまった。
それから神崎くんはにこっと笑うと、ゆっくりとこちらに来た。
「昨日は親切にありがとね。」
どうやら、昨日図書室を案内したことのお礼をわざわざ言いに来てくれたいみたいで、律儀な彼に少し感動してしまった。
「あ、相川さんの彼氏さんも、昨日は彼女を借りちゃってごめんね。」
椅子に座っているあたしたちと目線を合わせるようにしゃがんで言う。
尚の反応が喧嘩腰にならないかとハラハラしながら見ていると、彼はあたしの予想に反してにこにこしている。
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