彼氏キケン地帯




こ、困ったぞ。


こんなパターン知らないぞ!


完全にキャパオーバーしたあたしは白眼を剥くしかなくて、そのまま学校まで"可愛い尚くん"のペースだった。




尚の不可解な行動は昨日から続いていて、今日のお昼までも続いた。



「寒いから、蜜希のクラスでお弁当食べよ。」


いつも邪魔しそうな尚の幼なじみもいないし、増してや「人がたくさんいるとこでご飯は嫌だ」という尚が、教室で食べたいだなんておかしい。


どんなに寒かったって、屋上がいい!ってきかなかった尚が。


優等生だった頃も、やんわりと人が少ないところで食べたいと言っていた尚が。


あの尚が。



「?たべよーよ。」


可愛く首を傾げてあたしを見下ろす。


よく見ると、なんだ制服が乱れてない。

きちんとネクタイが締まっていて、模範生の着方だ。


耳元も、見たところピアスもつけていない。



(なんだ、なんだ…)


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