次の日、朝の待ち合わせにいつもより10分早くついてしまったのに、なぜか尚の姿があって驚いた。
以前はたしかに早めにくるタイプで、大遅刻したのは不良化した次の日だけだけど、それからいつもあたしのが早く来ていたから、珍しい光景…いや、久々の光景に戸惑った。
「ま、待った?ごめん。」
あれ、なんだか久しぶりに言った気がする。
そう思うと、なんだかくすぐったくなって笑ってみると、またもや目を見開くような光景をみた。
「全然。俺も今来たところ。」
目を細めてはにかむ。
それは、本当に天使みたいで、あたしの心を温かくしてくれる、そんな笑顔。
ぎゅっと胸を掴まれたような気持ちになり、思わずたじろいでしまう。
「いこ?」
そんなあたしに気づいているのかいないのか、少し遠慮がちに手を握って歩き出す。
「蜜希の手、ちっさい。」
優しくあたしを見下ろす目線。
目が合うと、ちょっと照れたように目線を逸らす彼。
な、な、
尚きゅんっ!!
「まだ、肌寒いね。」
「そ、そうだねっ。」
「冷えるといけないから…」
そっと繋がれていた手が尚のポケットの中に入れられた。
なにこれっ!?
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