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「はぁ?なんでだよ。」
昼休み、あたしの教室に迎えにきてくれた尚が、あからさまに嫌な顔をする。
「ごめん。あたし、委員会の仕事があるから、お弁当一緒に食べれないの。」
顔の前に手を合わせて謝ってはいるものの、尚は口を尖らせたままなかなか帰らない。
「なんでいきなり?俺より大事な用なのかよー?」
おもちゃを買ってもらえない子供のような顔をするけれど、
「メールしたじゃんー。そんな顔しないでよ。ちょっとだけだよ。」
「やだ。俺も委員会行く。」
ただの駄々っ子だ。
なかなか帰ろうとしない尚。
「じゃ行かせない」と邪魔をしてくる。
でも、ドアのところでしばらく話していたから、他の人の通行の邪魔になっていないかと、内心ひやひやしていた。
そんな尚に困っていると、横から神崎くんが顔を出して「どしたの?」とあの笑顔。
「あ、えっとね。」
なんて言おうかとちらりと尚を見ると、なんだかさっきよりムスっとしている気がする。
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