「転校生ー?」


もう一度担任が呼ぶ。


今か今かとドアを見るけど、一向に開く気配はない。


……入ってこないんですけど。


たぶん、こう思ったのはあたしだけじゃないはず。


しびれを切らした廊下側の男子が、小窓をあけて廊下を覗いた。


そして一旦廊下に出した頭を教室に戻すと、途端に声を上げた。





「せんせーい。転校生寝てます。」



「「「はっ?!!!」」」


「ゴーラァァ!!転校生!寝るんじゃなーっい!!」



転校初日から先生に目を付けられた彼。

柔らかそうなミルクティー色の髪に、眠そうに開かれた目。


「神崎紫苑です。」


あくびをしながら呟くようにそう言うと、天使みたいな笑顔で笑うとまた目をつぶってしまった。

立ちながら首をカクンと落とす彼を見て「タイプじゃなーい」とか「イメージと違ったぁ」なんて声もあったけど、あたしの頭んなかはパレードだった。


(か、かわいー…)



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