「尚…あたしっ」


「しゃ、写真!…のことなんだけどさ…」


「え…」



避けていた話を、あたしの言葉を遮るように尚は言った。


いつもと違って、余裕がなくなんだか必死。


そんな尚の様子に、あたしは眉を垂らし困ってしまう。



「…ちゃんと、聞けよ?」



でも、真剣な眼差しと態度に、あたしは頷いた。


どんなことでも、あたしは受け止められる。



「もう一度…見せて?」

「や?!それは…っ」



「え…」



あの写真をもう一度見たいというあたしに、尚は思い切り挙動不審。


そんな態度に、思わず不機嫌顔になってしまう。


「…じゃあいい。」


「あ!そ、そういうわけじゃなくて…っ」



いつもと立場は逆転。


焦り出す尚が可笑しくて愛しくて、君がどんなに残酷なことをしても許してしまいそうになる。



フッと笑うと、やっぱりどこかむなしくて。


だけど、尚を責めようなんて思えなくて。



ギュッと唇を噛み締めて、

「あたしは、どんな尚でも好きだから。」


涙をこらえてそう言った。



そんなあたしに、尚はため息を吐きながら自分の頭をクシャクシャにしてしゃがみこむ。



それは、なんだか脱力したかのようにも見えるし、顔を隠しているようにも見える。



そんな尚の行動に、あたしの頭の中はハテナでいっぱいだった。




「はぁー…誤解されるんだったら、お前が泣いても見せればよかった。」


「へ…」



「そうだよな…実際、泣かせちまったし…」




ぶつぶつと何やら呟き、尚は悩んでいる様子。


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