昼休み、ひとり屋上へ向った。


寒いのは嫌いなのに、もしかしたら尚がいるんじゃないかと思って、寒い冬空の下お弁当箱を広げた。


尚は、いつも外で食べるのが好きで、その度に密かに寒いなぁ…なんて思っていたあたし。


だけど、そのたびに尚がコートを貸してくれるから、外で食べるのも悪くないな、なんて思ってた。


周りにはもちろん誰もいなくて、あたしはボーと冬空を眺めていた。


みんな教室の中で食べているのに、なんであたしはこんな寒いところでお弁当食べてんだろう…。

以前よりも春が近づいてきたはずなのに、この前ここで食べたときより寒いのはなんでだろう…。


ぼんやりと眺めていたら、急に空がゆがんで汚く見えた。


雲って、こんなんだっけ…



「グス…っ」



空が歪んで見えたのは、あたしの視界がぼやけていたせいで。


あたしのがぼやけていたのは、涙のせいで。


涙が流れるのは、尚のせいだ。



「尚の…っばか…」



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