恋人[短編]



一階、二階、三階……ついでに、トイレも。


いそうなところを全部探すが、いない。


宮嶋どころか絵美さえいない。



こうなったら、恥を捨てるしかない。


すうっと、大きく深呼吸をする。



「───宮嶋ぁっ!! 宮嶋、悠也ぁぁ!! いたら出て来いっ! このやろー!!!」



大声を出した。

周りからの視線は痛いが、気にしない。


露骨に嫌そうな顔をして私の横を通る人もいるが、気にしない。



「みーやぁーじーまぁ!!」


もう一度叫ぶと、遠くのほうから人が走ってくるのが見えた。宮嶋だ。好きな人を見つける目だけはいいのだから、間違いない。


「お前、ばかだろ!」


私のもとに来た宮嶋は、息を切らしながら言う。



「どこにもいなかったんだからしょうがないじゃない」

「だからって、恥ずかしいだろーが!」

「べつに、いいじゃん」


あくまでも開き直りとおす。


こっちだって、あんたの何百倍恥ずかしいわよ!


「私は、あんたに話があるの!」