空港から1時間ぐらい走ってやっとついた。道もまったく覚えてないしね。
東京のほうにも(ここが東京か分からないけど…)山があるんだなぁと思いつつ山沿いの道を少し入って行くと急に道が開け、並木道というのかなぁ散歩するにはすごくいいぞ、っていう感じの道だった。
「もうすぐよ、あ、あれ、あの白い建物よ」
「どれぇ?あっあれなんだぁ……」
木の影ではっきり見えなかったけど近づいくとその全貌が見えてきた。
さすがお兄ちゃん………。普通の人はまず住まないだろうなぁ
まずは白い門が見えてきた。近づいて改めて見るとかなり大きな門だ。これを2人で開けるのかぁ?と思っていたらそこは心配無用、オート開閉だった。
そのまま車で奥に進んだ。かなり手入れのいき届いた庭をぼーと眺めていると、「さぁ、着いたわよ。ここが今日からあなたの家よ、さくやちゃん」
香織さんは私の様子を見て嬉しそうに言った。
「凄いですねぇ…本当にこの家でこれから住むんですか?」
「そうよー、でも中に入ったらもっと驚くと思うけどね」
私のリアクションが楽しくて仕方ないという様子だ。とりあえず外観を説明すると洋館、または少し小さなお城といった感じ。
門と同じで白い外壁でとにかくデカイぞとしか言いようがない
中に入ると…予想通りというか…中央に階段、…天井にはバカでかいシャンデリア…宝塚の舞台みたいだいぶ慣れきたぞ私大丈夫あのお兄ちゃんが選んだ家だ。諦めろ私…自分の中で葛藤していると
「さくやちゃん、正面の扉開けてみてよ」
香織さんに言われ恐る恐る開けてみた。どれぐらい広いかはわからないけど多分この部屋が一番広いだろう。中央に何かがあった。
グランドピアノだ、そのピアノには見覚えがあった。お母さんのピアノだ……