目の前にいる男は紅い血のような色の唇を左右に、これでもかというほど吊り上げ俺ににんまりと笑いかけてきた。(本人はそれが最高にお気に入りの表情らしいが、正直言ってまだヒキガエル愛想笑いのほうが何千倍も愛らしい、あぁ吐き気がする、うぇ…)


だからその唇から、この数分後とんでもない命令が飛び出して、安穏とした俺様の人生をぶち壊しちまうなんて夢にも思っていなかった。