カノジョのような顔だったら、ミツはあたしを見てくれただろうか。


なんて、考えるだけ無意味だろうけど。



「で、また逃げてきたんだ？」


「うるさいってば！」


きつく睨み返した瞬間、



「お前はホントに馬鹿だよな。」


まるで憐れむような優心の瞳。


悔しくなって殴りかかろうとした瞬間、逆にその手を取られ、ソファーに倒される。


堪らず目を逸らしたあたしは、いつもこの男になんて勝てやしない。



「まぁ、そういう馬鹿なアンナでも、俺は良いと思うけどね。」


噛み締めていた唇から割り入るように、指を入れられ、そのままキスを奪われた。


いつも優心は、ひどいことを言いながらも、あたしの醜い片思いを笑ったりなんてしない。


だからあたしは、もうずっと、心のどこかでそれに依存してしまっている。


子供じゃないから体を繋ぐことが一番楽で、そして優心だけが責めもせずにあたしを受け入れてくれているから。



「アンタなんか大嫌い！」


強がることばかりに長けてしまったあたしを、彼は少し笑って見た。


熱にうがたれながら、浮かぶのはミツの顔。


もしもあの人が抱いてくれるなら、と想像しながら果てるあたしは、やっぱり最低だった。


優心の瞳は、それすら全てわかっているかのようで、怖くなる。


ドロドロとした醜い感情に支配されているあたしなんて、消えてしまえば良いのにね。