パタンと車の扉が閉じる音。 エンジンのかかる音。 「またな。」 そう言って、あたしの頭をポンポンとする翼。 全てが寂しく悲しい青色に見えた。 「うん、またね。」 それは、来年果たされる約束なんだけど。 翼が車に乗り込み、何時間も掛かけて山口まで帰る。 車が小さく見えるまで、見送ったあたし達。 「行っちゃったね?」 真子が寂しげに呟く。 「そうだね。」 片手に小さな紙袋を握り締めて、この二日間を振り返った。