893〜ヤクザ〜

そしておやっさんの顔色を伺いながら待つ事30分。

ようやく順番が回ってきた。

部屋に入ると、すかさず原田の兄貴がおやっさんの元へと走る。



「おやっさん何飲まはれますか!!!!」



「おぅ。わしゃ焼酎でええわ。」



こういう時は1番下っ端のわしが動くべきなんやと、わしは軽く下唇を噛んだ。



「本部長は!!!!」



「ほなわしも焼酎で。」



「代貸は!!!!」



「あぁ一緒で。」



「相談役は!!!!」



「おぉーわしも焼酎。」



「松ったの兄貴は!!!!」



「おぉわしも。」



「西山はんは!!!!」



「すんまへん焼酎で。」



「平尾は!!!!!」



「あっ……酎ハイの青りんごで。」



「………………。」



「………………。」



みんなの動きが一瞬止まる。



そして全員の視線がわしに集まった。



(えっ!?むっちゃ見てるやん………!!!)



おやっさんを見ると、初めてタコ焼き屋で見た時と同じあの鬼瓦の顔でわしを睨みつけとった。



数分後、各々の前に焼酎と色鮮やかな青りんご酎ハイが並べられた。