893〜ヤクザ〜

終始どもりながらも、古川さんは何とか最後まで読み上げた。



そして神酒が注がれ、組長さんから下げられた盃をわしは一気に飲み干し懐紙に包み懐中に収めた。



そして……

金張りの代紋を、組長さんがわしの胸に付けてくれた。



(バ……バッジや……夢のエンブレムやないの……!!!)



胸元に輝くバッジがわしの緩んだ顔を引き締めてくれる。

バッジといっても、それぞれにちゃんとした格差があり、わしや原田君達が付けるのはメッキ張り、組長さんクラスで18金、直参クラスでプラチナとなる。

だがピカピカの一年生のわしには、ダイヤモンドにも負けないほどの輝きに見えた。



(ま……眩しすぎる!!!!!)



そして見届け人である兄貴分たちとの記念撮影を済ませて盃式は終了した。



これでわしは、晴れて市川組の組員となり一家名乗りを許される事になった。