姐さんが決めてくれた吉日当日の朝、わしが犬の散歩を終え本宅に戻ると、姐さんはすでに起きて台所でせわしく働いとった。



テーブルを見ると、そこには盃式で使う鯛や白菜、盛り塩それにローソクが数本用意されとった。



「姐さんおはようございます……」



「あー起きたか平尾。」



「はい。これみんな盃式に使うんですか?」



「そぉや。あんたも今日で立派な市川組の一員になる。しっかり心引き締めるんやで。」



「はい。姐さん朝早くから色々とすんません。」



「かまへん。あんたもさっと風呂入ってしっかり身清めてきぃ。こっちの風呂焚いといたったから早よ入ってき。」



「ありがとうございます。」



「風呂上がって礼服に着替えたら、ちょっと早いけどパパ起こしてきて。」



朝の用事はまだ済んでなかったが、わしは姐さんの言葉に甘えて本宅の風呂を使わせてもらう事にした。