そこはテキ屋の仕込みをする厨房やった。

数人の恐そうな人達が包丁を手に、優しい手つきでタコや豚肉を切っとった。



「ここが仕込みする場所やからな。しっかり手伝え。」



給料や休みの話もしないまま、早速わしは仕込みを手伝わされた。



発泡スチロールに詰められた大量のタコ――

わしは包丁を手に等間隔でタコを切り続けた。



おもしろいもので、同じ作業を何時間も続けていると体が自然にリズムに乗り、気付いた時にはすでにタコのブツ切り名人になっとった。



全ての仕込みが終わると、それらをワゴン車に詰め込み、何も分からぬまま車に乗せられた。