てのひら。




愛弓は囲まれていた私に構わず平然としていた。


あとの2人は関わりたくないと言わんばかりに、逃げるように部屋を出た。



そんな昨日の今日ではあったが、私は何も言わない。



弱味を見せてたまるかと、そう思っていた。




そんな折り、ふと視線を移したところに不思議なものを発見した。



よく分からないが、ギリシャ神話か何かに出てきそうな老人の顔らしきものが石の壁に彫られていて口を開けている。



いわゆる『真実のなんとか』と言うやつだろう、端の方に『嘘つきがここに手を入れると抜けなくなります』と言うような説明書きまでされている。




私は引かれるようにそこに手を入れた。



嘘つきなんだから、抜けなくなる?なんて幼稚な考えをめぐらせて。


しかし現実問題、手を入れて抜けなくなる、なんてのはある筈がない。



差し入れた私の手は、当たり前だが容易に抜けた。