てのひら。




冷たい水でバシャバシャと顔を洗い、洗面台の鏡を見やる。


―大丈夫、笑える。



『亜里沙〜、ご飯行こ〜』


『行く行く、待って〜』



能天気な声に呼ばれ、私も能天気に答えた。

本当の私じゃない、“ツクリモノ”の笑顔で。



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『いただきま〜す!!』


綺麗に揃った声の後に、カチャカチャと箸とお碗のぶつかる音が流れた。


おそらく昨日の一件を知らない隣のクラスの子達は、わいわい楽しそうにしている。


それに比べ私のクラス、私のグループは異様な雰囲気が漂っていた。


あいつらも何か言ってくるわけではないし、私も何も言わない。


卒業アルバム用の写真を先生が撮りにくれば、カメラに笑顔を向け、友達から声をかけられれば、何事もなかったようにそれに応じる。


それが余計、周りの空気を重いものにしていたようだ。



用意されていた朝食を食べ終わると、先生の声が耳をうった。



『部屋に戻ったら帰り支度をして待機していて下さい。11時にはホテルを出るので、30分前には集合して下さいねー』