源氏物語

『うん』



そう答えるのは簡単で、一時の幸せを得るには都合のいい言葉だった。



でも、ミナミはそれを言わなかった。



頼朝が好きだから。



一時の幸せのために、頼朝を自分のそばに置いておくわけにはいかない。



「ミナミ…、頼むよ…。お願いだから…」



頼朝はテーブルの上に乗っかっているミナミの両手をそっと握った。



声は震えている。



彼もまた、ミナミを心から想っているのだ。



自分が子供だと自覚しながらも必死でミナミをつなぎ止めようとしている姿は、彼自身がわからないと言っていた愛そのものである。