放課後。果菜は用事で行けないため私は明華とあの男の子がいる橘高校に行った。

高校が近づく程、心臓の鼓動は早くなっていった。

「ほらやってる」

あの男の子が竹刀を振っていた。

ドキッ

「あの男の子？」

「まぁ…」

「へぇ～、かっこいいね」

カァァァ

「休憩の時を狙わないとこのタオル渡せないよ？」

明華が視線を向けた先には…

「「キャ～！！涼君頑張って～！！」」

どこからあんな声だせるんだよ。

きっとあの男の子のファン達だろう。

「大丈夫かな…」

「柚季なら大丈夫だよ。ガンバッ！」





少し時間が経つとその男の子が他の男の子と変わった。

「ほら、行ってきなよ」

明華に後押しされ私は男の子の後をついて行った。

男の子は水道の場所で顔を洗っていた。

幸い他には誰もいない。

私は静かに近づいた。

その男の子は顔を洗い終わると上をを向いた。

雫はしたたり落ち、黒髪は日差しで輝いていた。

これが水も滴るいい男っていうんだ…

私はしばらく見とれていた。

しばらくするとその男の子はこっちを向いた。

ドキッ

「君はあの時の…」

「あっ、えっと…」

私はタオルの入った袋に気が付きタオルを差し出すと

「これ…返そうと思って…」

「急がなくてよかったのに」

「か、貸してくれてありがとう」

「いや、こっちこそサンキューな」

男の子は返したタオルで顔を拭いた。

「良かったら君の名前教えてくれない？」

何！？突然そんなこと…

「こういう風に話せたのも何かの縁だろ？」