クラスの人気者(だと私が思っていた)

ヤマダミホが泣いている。

放課後の職員室。

外はもう真っ暗。

残っている先生はいない。


「わたし、もう死にたいです」

うん、それはもう何回も聞いた。

「わたし、どうすればいいんですか」

うーん、それはわたしにもわからない。

そもそも、なんで死にたくなっちゃうのか、
がわからない。

それに何で、わたしみたいな教師に

そんな相談をするのかがわからない。


ミホは我が3年E組の優等生(だと私は思っていた)。

この前の席替えで、スズキととなりに

なって、ちょっと話してみたら、

優しいから、好きになっちゃって、

彼女がいないって聞いていたから、

告白したら、好きな子がいるって、

言われて、超ショックで、それなのに、

告ったことが噂になり、他の女子から

無視されるようになった…。


うん、そうか、それは大変だ。

同情するよ。

でもね、そういうのって、ふつう、

担任に相談するか?


きっとわたしが、ブサイクで、

彼女いない歴24年で、

話が下手で、チビで、それから、

英語の発音が変で、他の先生たち

から、バカにされていそうだから

なんだろう。