そう、思った。

どうしてか、やっぱり目が離せなかった。

 シャー芯買いに来ただけなのになあ。
凄いものを見た。
なんて、暢気なことを考えながら。
しかしそれは虚勢ではなかった。
本能が疼く。
煩く騒ぐ。


 不意に、自分の足元に転がっていた、きっと文房具屋の商品であろうカラーペンに気付いた。暴れた末にぶちまけられたんだろう。一本ではなくそこらじゅうに落ちていた。

 それを拾うと、セーラー服の女の子がこっちを向いた。
少し構えると、彼女は「はっ!」と短く笑い飛ばした。自分の全身がびくっと反応する。

 「武道やってんのか、おにーさん。ふーん──まあいい。そのペン寄越しな」
馴れ馴れしい感じの態度で彼女はそんなことを言った。あまり距離は離れていないので、その場でペンを投げる。だが、彼女は受け取らず、ペンは店の床に落ちた。
「……ペン目的で襲ったのか?」
「んなわけねーよ。あたしは正義の味方役だからな」
つるはし抱えたまま言うなよ。