なんだか……、切ないな。


私までシュンとして肩を落とすと、



「それでいいんならかまわねーけど」



低い声を出した流川。



「そんなことして両親をだまして、それじゃ自分もだましてると一緒だろ」



流川の言葉に、オネエマンは膝の上のこぶしをぎゅっと握った。



「だって仕方ないじゃない」


「まだちゃんと両親と話したわけじゃないんだろ?

逃げて飛び出してきただけだろ?」


「……」


「このままじゃアンタ、何も変わんねーよ」


「……」


「自分の言いたいことをちゃんと言って、それでもダメだったらまた何か考えればいいだろ」


「……」


「そういうアンタを必要としてる奴らはちゃんといるんだからな。

逃げないで話せよ、正面から」


「……ナオちゃん」



つつっと留美の頬に涙が伝って。


ぎゅっとこぶしでそれをぬぐったオネエマンは、



「ナオちゃーーんっ」



立ちあがって、がばっと流川に抱きついた。



「ああああーーっ!」



びっくりしたのは私。


オネエマンと流川の間に腕を突っ込んで、引きはがそうともがいた。



「お前ら……、離れろっ!」



のけぞった流川の声が公園に響いて。



「とりあえず今夜は帰るぞ! 留美は今から仕事に行け!」



雲に隠れていたお月さまが顔を出して、


そんな私たちを明るく照らした。