「あ、お兄ちゃんの声」
留美の妹がつぶやいて。
全員で廊下へ顔を向ける。
足音が近づいてきて。
「今夜は特別なお得意様が来るからさぁ、美容院に行ってきたの。
ナオちゃんごめんなさいね。ご飯食べた?」
せかせかとキッチンに向かうオネエマン。
「それともちんちくりんが何か作ったのかしら? お腹減ってな……い、ナオちゃ」
顔を上げたオネエマンは。
「ちょっと! 何で今日はオトコがいるのよ。しかもちょっとカワイイじゃないの」
そこかいっ!
ココロで突っ込みを入れると、すぐに青ざめたオネエマンは、
「……か、香穂……なんでアンタがここにいんのよ」
持っていた大根を、ごろんと落とした。

