「……え? 誰? なに?」


「唯衣さん、どうしたんですか?」


「流川……、何してんの?」


「流川? って、あそこにいる人ですか? 唯衣さんの彼氏ですか?」


「……うん」


「オンナの人と抱き合ってるようにも見えますけど……」


「……何が起こってるの?」



ぼうっとしている私の顔と、廊下の向こうにいるふたりの様子を交互に見ていた光太くんは、



「このぉ~……」



突然、ふたりに向かってダッシュした。


その様子も、ぼんやり見ていた私。



「なにしてるんですかっ!」



光太くんが大声で叫んでいる。


その声に、顔をあげた流川。


なんだ? っていう表情で首をかしげている。



「唯衣さんって彼女がいながら……よくも!」



声を震わしながら叫んだ光太くんは、


こぶしを振りかざして、流川に飛びついた。