「な、なに……?」
あわてて振り向こうとしたけれど、
すぐに流川の吐息が首筋をふわっとかすめて。
ピンクトルマリンのピアスまでその唇が到達すると、
「オレの心配をする前に、自分の心配をしろよ」
かすれた声が耳の中に入ってきた。
「ちょ……流川っ……」
ぴくんと肩を上げると、流川はくすっと笑った。
「オレがアイツに食われるわけねーだろ」
「でも、オネエマンのほうが流川よりでっかいし……なんか強そうだし……」
「だとしても、オレにその気はないから安心しろ。死ぬ気で逃げるわ」
「……ぷ」
思わず笑ってしまった私の頭を、流川は片手で振り向かせた。
ドキッとする間もなく、
頬にキスをした流川は、私の目を覗きこんで。
こんな至近距離。
ホントに久しぶりで……。
「……ち、近いし……」
「お前……相変わらずだよな。ちっともオレに慣れねーのな」
「な、慣れるわけないじゃんっ」
今こうしていられるけど、
それまでの時間だって結構あいてるし。
最後にちゃんとキスしたの……いつだっけ?
「重いな、お前」
瞳の奥には、やっぱりいたずらな色が浮かんでいるけれど、
それでもこの目に見つめられたら……何も言い返せなくて。
息を止めて、たぶん、次にやってくることにゆっくり目を閉じると、
唇を、温かい感触でふさがれた。