まさか留美の部屋からサンタの格好をして自宅に向かうこともできないだろう。
マンションに着いてから着替えることにしたオレは、カエルを袋に入れて外に出た。
いつの間に降りだしていたのか、街はすっかり白くなっている。
デカい袋を抱えて電車に乗り込んだオレを、女子高生がじっくりと観察していた。
オンナの視線になんて慣れてはいるが、この視線はあきらかに興味本位のものだ。
サンタの格好をしていなかっただけでも助かった。
マンションに着いたオレは、周辺に人気のないことを確認してから玄関前でサンタの衣装を装着した。
衣装はオネエマンパラダイスで用意しているものだ。
留美サイズだから洋服の上からでも容易に着れる。
帽子はもちろん、すぐにはオレだとバレないように口ひげとアゴひげ付きだ。
「……学芸会以来だぞ……こんな格好するの」
やってられるか。
……とは思ったが、中の空気を白けさせるのも悪いだろう。
あきらめたオレは玄関の扉を開いた。
「何だ? 暗いな」
いつもなら廊下に漏れているはずのリビングの明かりがない。
大音量で聞こえてくるはずのアイツらの声もなかった。
「どうした? 予定変更でDVDでも見てんのか?」
とりあえず靴を脱いだオレは、
ゆっくりと廊下を進み、薄暗いリビングをそっとのぞいた。

