「じゃあ……、あのサンタクロースは何だったんだろ?」



泥棒みたいに入ってきて、逃げてっちゃってさ。


カエルを持ってきてくれたんだったら、


普通に枕元にでも置いていってくれればよかったのに。



しかも。


袋にしがみついたらさ、奪われまいとして引きずったりするし。



「いったい何しに来たんだろ?」


「強盗じゃなかっただけ良かったと思えよ」


「そうだけどさ」


「痴漢のたぐいだったらどうしてたんだよお前。カギもかけねーで寝やがって」



あ、マズイ。


流川の眉間にシワがよってきた。


本格的に怒られる前に話題を変えよ……っ。


サンタ話、終了っ。



「流川」


「今度はなんだ」


「オネエマンのことですけど」


「……」


「絶対知ってるよね? 何でベランダから登場したのか」


「……さあな」


「ウソだ。絶対知ってる。教えてよ。ねー、ねー、ねー」



カエルごと詰め寄ると、



「兄妹か、お前らは。似たような格好しやがって」



少し背中をそらした流川は、



「教えてやるからもっと引け、カエル」



数センチ先のカエルの顔に命令した。