――トク、トク、トク……



耳に届く流川の鼓動は、たしかに……ちょっとだけ早いかも。



――ドキドキドキドキ……



それ以上に私の心臓は高く鳴り続けてるけど。



流川も私と同じ気持ちなんだって思うと、


少しずつ、落ち着いてくる。



――トクン、トクン、トクン……



2人の音が重なりあったとき、


そっと、流川の手が私の肩に置かれた。



瞳をのぞき込んで、私の気持ちを確かめるように。


優しくて柔らかいキスがひとつ、落ちてきた。



「流川……」


「ん?」


「よ、よろしくお願いします」


「ふ。何だよそのセリフ。色気ねーな」


「ははは……」



やっぱり、流川のこういう毒舌を聞いていたほうが安心する。



パーカーのジッパーを下ろされて、ドキンとしたけれど。



「……」



流川のなんとも言えない顔に、はっと気づく。


そ、そういえば……大量に重ね着してるんだった……。