さらっと落ちた前髪を、流川の長い指が通り抜ける。



おでこに、頬に、軽くキスをした流川は、


私を抱きかかえたままベッドに腰掛けた。



……やばい。


私、ガチガチだ。



「ちょ、ちょっと待って、流川」


「なんだよ。怖気づいたか」


「……」


「さっきの気合いはどーした」


「……」


「……そんなに緊張してんのか?」



――こくん。



うなづくと、そっと私を包んだ流川の手が背中を撫でた。



「チカラ抜け」



固まってる私の耳元でささやいて、



「緊張なんてすることねーよ」



頬を両手ではさんだ流川は柔らかくほほ笑んだ。


まばたきを繰り返しながら、流川の目を見つめ返すだけの私に、



「でもまあ、緊張すんのもムリねーか」


「……」


「お前とは初めてだもんな」


「……うん」


「仕方ねーから教えてやるよ」


「?」


「オレも緊張してんだぞ、少しはな」


「え……?」


「お前だけじゃねーから安心しろ」



そう言ってすぐに私の頭を胸に引き寄せた流川は、


しばらくの間、私の背中を優しく撫で続けた。