「……流川?」



――ドキン……。



心臓が跳ね上がる。



「あ、あのっ」



あわてて視線をそらしたけれど。


しっかりと握られた手は、びくともしない。



「の、のどがカラカラでさ」


「……」


「しゃ、シャンパン、飲もうかと思って」


「……」


「ねぇ、流川? ……離して?」


「……」


「……流川ってば」



お願いしてもダメ。


ぜんぜん離してくれなくて。



それどころか。



「……じゃあ、」



と小さく言った流川は。



「口うつしで飲ませてやるよ」



私の手を、ぐっと引き寄せた。