「も、もういいや、ここで。そしたらカエルが帰ってきたって話でした。おしまいっ」



強制終了をかけた私に。



「なんだそのオチは。飛ばし過ぎだ。怒んねーからちゃんと話せよ」


「ウソだ。絶対怒るもん」


「怒んねーって」


「ホントに?」


「ああ。最後に叱ってやる」



……意味ないじゃん。



「で?」


「……扉が閉まる直前で赤い色が見えてね。どうやら泥棒っぽい人影が」


「お前が寝てる隙に入られたってことか」


「そ、そうみたい」


「なにがそうみたいだ。カギもかけねーで寝てたんだろ? バカ」


「すでに怒ってんじゃん……」



ま、まあいいや。


続き、早く話しちゃおっと。



「そんでね、怖かったんだけど追いかけたの。流川の留守中は私が守るって約束したし」


「……で?」


「で、追いかけてったら泥棒が立ち止まってて。
よ~く見たら赤い服をきたサンタクロースで。
意味分かんなかったんだけど、お宝を取り返そうと思って飛びついたんだけど逃げられて、」


「お前な、そこでソイツに捕まってたらどうしたんだよ。勝てるとでも思ってたのか?」


「勝てるとか勝てないとか考える余裕なんてなかったもん。
流川に電話しようかと思ったんだけど、日本にいないって気づいたから……。
自分で何とかしなきゃって思って」


「……で?」


「で、走って追いかけて、飛び蹴りした」


「……」


「そしたらサンタが倒れて。持ってた袋にしがみついたらそのまま引きずられて、」


「それでヒザにケガしたのか」


「うん。でも大丈夫。もうカサブタになってるし」



ヒザを見せると、流川はそこを指先でちょんとつついて、



「大したことなくて良かったな」



どこか安心した感じで言った。