「あのね、サンタクロースの泥棒が入ったの」


「は?」


「いや、泥棒みたいなサンタクロースが来たの」


「あ?」


「とにかくっ。カエルが帰ってきたのっ」


「……ちゃんと話せよ、順を追って」



ソファに寄りかかった流川は、あきれた顔をしている。



「流川と空港で約束したじゃん? カエルのこと、ちゃんと探すからって」


「ああ」


「イブも、クリスマス当日も、今日の午前中も、いっぱい歩いたの。
筋肉痛になりながら歩き回ったの。クリーニング店」


「……そうみたいだな」


「え?」


「いや。で?」


「30軒くらい回ったんだよ。でも全滅で……。
オネエマンにも聞いてみたんだけど、知らないって言われて」



腕組みをした流川は、じっと私の顔を見ながら話を聞いている。



「3日間フル稼働だったからさ、クタクタで。
バイトから帰ってきたらいつの間にか寝ちゃってたみたいで」


「……」


「そ……それで、カエルの呪いみたいなヘンな夢を見て、目が覚めたら玄関の方で物音がして、」


「……」



マズイな。


流川の表情が厳しくなってきた……。