「いらっしゃ、い、ませぇ……」



入ったコンビニの店員さんが、目を丸くして私を見た。



雪でびっしょりになったオンナが、巨大カエルを抱えて入ってきたんだから仕方がないだろうけど……かなり恥ずかしい。


ヒザなんて、少年みたいに擦りむけてるわけだし。



「何かあったの? 大丈夫?」



雑誌の立ち読みをしていたお姉さんに声をかけられて。


痴漢に襲われたとでも思ったのかな。



「警察行く? どこか痛いところない?」



本気で心配してくれている。



「いえ、何でもないんです。雪にはしゃいでたら転んじゃって。あはは……」



私の返事に、お姉さんは首をかしげて苦笑した。


おかしな子と思われたかもしれない……。



冷えたカラダを温めるために入ったコンビニだったけど、


入ってくるお客さん全員が私を怪訝な顔で眺めていく。



「マズイ。通報されるかもしれない……」



とりあえずあったかい缶コーヒーを買った私は、急いで店を出た。



飲みながら歩く、雪の道。


だいぶ追いかけてきたから、流川の部屋までまだ距離がある。



「カエルぅ、寒いねぇ……」



カエルに頬ずりしたり、ときどき立ち止まって痛む足をさすったり、


よたよたふらふらと部屋に戻れたのは、踏みしめる道路の雪が足の甲を隠してしまうほど積もってからだった。