「…………」



雪まみれの顔で、サンタが消えた通りの向こうをぼう然と眺める。


立ち上がる気力がわかなくて、そのまま道路に突っ伏していたけれど、



「……さ……さむい……」



凍るような全身の冷たさになんとかカラダを起こした。


ヒザがちょっとだけ擦りむけていて、赤い血が滲んでいる。



「逃げられた……」



全身についた雪をぽんぽんと落としながら、深いため息をついた。


寒くて痛くて、ヒザがカクカクする。


緊張から解放されたから尚更。



「つかまえられなかったけど、流川宅のお宝は取り返したもんね……」



よかった。


流川に合わせる顔がなくなるところだったよ……。



「こんなでっかい袋持ってきて……いったい何を盗もうとしたんだろ?」



袋の口を開けて、中をのぞいてみた私。



「……え?」



なに?


このミドリの物体。



「まさか……」



手を入れて引っ張り出すと、


びろ~んと登場したのは……カエル。



「え? なに?」



予想外の出来事に、しばし言葉を失った私。


なんで?


どうしてカエルがこの中から出てくるわけ?



「お前……何してんの?」



両手で掲げたカエルは、私の質問に赤い口を開けて笑っているだけ。



「なんだよぉ、なんでお前が出てくるんだよぉ、カエル~~~」



それでも私は、


やっと再会できたその陽気な顔にぶちゅーっとキスをした。



「サンタクロースは泥棒じゃなかったってこと? 泥棒がサンタクロース?」



……混乱してきた。



「でもまあいいや。カエル~~、おかえり~~」



カエルの首を絞めるようにして、私はカエルを抱きしめた。


ぎゅっとぎゅうっと抱きしめた。