「つかまえ、あっ!」



手が届く距離で伸ばした手は、空中を切って。


さっと身をかわしたサンタは、また走り出してしまった。



「こっ、待てっ! サンタっ!」



エンジンがかかってしまった私のカラダは止まらない。


無我夢中で、がむしゃらに追いかけた。



ときどき振り向くサンタが、なかなか開かない距離にびっくりしてさらに逃げる。



「待てーーっ! 泥棒サンタっ!」




≡≡≡ヾ(`┝ω┥´)θキーック!★)゚ロ゚)ノ




ていっっ、と繰り出した飛び蹴りは、サンタのおしりにクリーンヒット。


はずみで自分もコケたけど、そんなのかまっていられない。



「流川の留守中は、私が守るんだからっ!」



うつぶせに転んでるサンタに馬乗りになろうとすると、


すばやく起き上がったサンタが再び逃げ出した。



「ま、待てっ!」



転んだまま、必死にしがみついたのはでっかい袋。



「に、逃がさないんだからっ」



サンタのほうも必死。


袋を奪われまいとして、私を付けたままズルズルと雪の上を引っ張る。



「い、いででで……」



スカートから出てるヒザが冷たくて痛い。


けど、絶対離せない。



「ふぬぅ……っ」



3メートルくらい引きずられただろうか。


私がどうしても袋を離さないと悟ったらしいサンタは、


ちょっとのあいだ私を見下ろしていたようだったけれど、


袋を置き去りにして走って逃げていってしまった。