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「何なのこれ~~」



飛び出したのはいいけれど。



「もうこんなに積もったの?」



道路は5センチくらいの真っ白い雪でおおわれていた。



「ううう~、うれしいけどうれしくない~~」



足を踏み出すたびに舞い上がる白い雪。


さらさらのパウダースノー。


本当なら「うわ~い」とはしゃぎまわりたいけれど。



「それどころじゃない……」



痛い足を持ち上げて無理やり走っている私には障害物。


容赦なくまとわりつく空からの雪も、目の前をかすめさせて邪魔だった。



だけど、この雪が幸いしたのも事実。



「このぉ……泥棒めっ。逃げたってムダだぞっ」



マンションから続いている足跡は、ひとつしかない。


これをたどっていけば、確実につかまえられるはず。



でも……、足跡は明るい大通りのほうじゃなくて、住宅街のほうへ続いている。


歩道に漏れる明かりがだんだんと乏しくなってきて、私は少し、ビビり始めていた。



「逆につかまえられたらどうしよう……」



そんなことを考えたら、コートも着ずに出てきてしまったカラダがぶるっと震えたけれど。



「あっ」



目を凝らした数メートル先に、立ち止まっている人影が見えて。



「い、いた! 泥棒」



追いついたうれしさにテンションが上がった。