「麻紀、どうしよう」


「明日から12月だもんね」


「うん。もっと寒くなるね」


「そうだね」


「うん」


「……」


「……」


「そういう問題じゃないよね」


「私もそう思う」



両手に息を吹きかけながら、麻紀はなにか考えている様子。


ブーツのかかとを上げ下げして、うんうんと首を縦に振ってから私の方を見た。



「唯衣」


「ん?」


「これはチャンスよ」


「は? なにが?」



こんなことになっちゃって、なにがチャンスだと言うんだろう。


首をかしげていると、



「アタシの部屋においでって言おうと思ったんだけどさ、ほら、アタシのとこにはすでに祐二がいるじゃない? まあ、追いだしてもいいんだけどさ、唯衣が来るなら。
でも……」


「でも?」


「ヤるチャンスよ、これは」



たら~ん。


麻紀の目が半月形に変わった。