イブから一夜明けた街中は、午前中にもかかわらず何となく浮足だっている。


アパートから腕を組んで出てくるカップルともすれ違って。



「いいなぁ……」



思わず本音が漏れてしまう。



「それにしても寒い」



冷たい空気がときどきビュウッと髪を巻きあげるから、耳がチクチクする。


いっぱい着こんできたけど、それでも寒い。


ラブラブカップルを見たあとだから……余計に寒い。



「えっと。今日はあっちから当たってみようかな」



すれ違うカップルはなるべく見ないようにして、街中を歩きまわること5時間。



「……今日もダメだった……」



10軒近く当たってみたけれど、カエルには再会できなかった。


お昼も食べないでがんばったのに。



「これからバイトかぁ。……しんどい」



足の裏が痛い。


ふくらはぎもパンパン。



「私……なんでこんなに一生懸命カエルのこと探してるんだろ」



あの笑い顔に癒されたいから?


うん。それもあるけど。



カエルは……、私と流川のキセキの使者なんだよね。



だから……。


カエルが見つかればきっと、流川にもすぐに会えるような気がしてるんだろうな、私。


そんな単純で簡単なことじゃないことは分かってるけどね。



「あーあ。どこにいるんだよぉ、カエル~……」



マンションに戻る元気もなくなっていた私は、


そのままとぼとぼとバイト先へ向かった。