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バイトから戻って。



「ハッピーバースデ~、トゥーユ~♪」



あえて選んで買ってきたでっかい丸いケーキを前にして言ってみたけど。



「……つまんない」



ひとりボケしたって突っ込んでくれるヒトがいなきゃ全然おもしろくない。


逆にむなしい……。



「まあいいや。いただきまーす!」



ローソクの火を一気に吹き消してから、


丸のままのケーキにフォークを突き刺した。



「イエーイ! 贅沢食いっ!」



むなしいけれど、そこはケーキだ。



「んまいっ♪」



正直な感想は、女子だから仕方ない。


生クリームたっぷりのケーキをしばらくひとりで堪能してから、ツリーの電気を入れた。



「うわ……キレイ……」



窓に広がる夜景と、ツリーが放つブルーの光。


部屋の中が一気にクリスマスっぽく変化して、ちょっとだけワクワクした。



けど。


すぐに寂しくなって。



「お風呂にでも入ろっと……」



カエル探しとバイトで疲れた足を引きずってバスルームへ向かった。