「日本は夜なのに、向こうに着いたら今日の朝だよね? 時差ボケしそうだね」


「一日が長ぇな」


「いいじゃん、タイムスリップしたみたいで」


「そんなふうに思うのはたぶんお前だけだぞ」


「私も……冬休みの間だけ一緒に行ければ良かったな」


「夏にガス止められたヤツが言うセリフじゃねーよな」


「……。今はちょっとずつ貯金してるもん」


「行ったら行ったで、今度は帰りたくないとか言うだろお前」


「うん。言うよね」



あははと笑ってみせて。



「流川……」


「ん?」


「……」


「なんだよ」



いつ……帰ってこれるの?



口を開いたけど、聞けなかった。


確認したいのに、怖くて聞けない。



もしもずっとずっと先だったら、


それまで流川がいない生活に耐えれるかどうか不安だったから。



「どうした?」



唇を結んでうつむいた私の顔を、流川がのぞき込む。



……マズイ。


…………泣きそう。


なにか、他のこと言わなくちゃ。