「痛てて……」


「バカ。何やってんだよ」



目の前にしゃがんだ流川。



「さっきから何なんだよお前。変だぞ」



完璧にあきれている。



「私、耐えたよ。落ちなかったでしょ?」


「……今落ちたけどな」


「同じ空の下に流川がいると思えば、なんともないんだ」


「?」


「離れても、また近づけるし。そこにいるし、流川」


「……なんだそれ。てか鼻水出てるぞ」


「ええっ?」



鼻の下をこする私のおでこに、流川の手のひらが触れた。



「熱でも出たか、また」


「ぐしゅ……」


「……泣いてんのかお前?」


「ううん。ホントに鼻水出てた。風が染みて涙も出てる」



あはは。


手当たりしだいに顔をぬぐって笑うと、



「ったく。ほら、立て。帰るぞ」



差し出された手。



「よいしょっと」



その手をとって立ち上がった私。


おしりについた砂をぽんぽんと叩いていると、



「次はオレも押してもらうか。お前のチカラで押せるんならな」



風で乱れた私の髪に指を通して、


柔らかい表情でほほ笑んでから、ブランコを見つめた。