「へへ。ブランコなんて久しぶり」



足先でこいでいたけれど、



「流川」


「ん?」


「押して」


「あ?」


「背中押して」



ブランコの柵に寄りかかっていた流川にお願いしてみた。



「自分でこげよ」


「限界あるもん」


「あんまり押したら危ねーだろ」


「いいの。流川に押してもらいたいの」



首をかしげる流川。



「落ちても知らねーぞ」


「大丈夫。耐えるから」


「耐えるってな、」


「大丈夫。私、そんなに弱くないよ」


「は?」


「強くなったんだよ、これでも」


「……相変わらず変だな、お前は」


「手加減なしね」


「こらえろよ」


「うん」



私の後ろに回った流川は、ぎゅんっとこぎ出した私のタイミングに合わせて背中を押した。



すーっと、冷たい風が頬に当たる。


ふわっと揺れる髪。


どんどん高くなる空。



戻るたび、背中を押してくれる力強い流川の手。