「私たち、どーなるんですか?」


「どーなるって……どうなるんだろうねぇ」



後藤さんはアパートを見てため息をついた。


つられて私も目をむける。



青木さんの部屋以外、真っ黒くすすけている部屋はないけれど、


なんたってドールハウス状態。


部屋の中が丸見えで。



「これじゃあ、住めませんよね。もう冬だし寒いし」


「そういう問題じゃないだろ、吉沢さん。

これじゃあ、プライバシーをさらけ出して生活するようなもんだよ」


「そういう問題でもないと思うんですけど……」



アパートの前のせまい道には、おそらく部屋の中にあったと思われる小物類なんかが飛び散っている。


よく見ると、向かいの家の屋根の上にまでガラクタが乗っかっていて。


ひどい有様。



「さっき大家さんが駆けつけたんだけどね、これじゃ元通りに直すことも不可能だから建て直すしかないなって言ってたよ」


「建て直し、ですか?」


「まあ、そうするしかないわね。どのくらいかかるのか分からないけどさ。
問題はそれまでどうするかってことだよ」


「どうするって、なにをですか?」


「なにをって。アパートを建て直すまでに、誰に世話になるかってことだよ」


「あ」



そうだよ。どうしよう。


ぼんやりしてた私だったけれど、だんだん、事の深刻さに気づいてきた。