首をかしげた私に、



「ちょっと唯衣、状況わかってる?」



同じ角度で首をかしげた麻紀。



「遠距離恋愛なんて話じゃなくなるよ、これ。海外なんて相当遠いし、電話代だってバカにならないし」


「……」


「まあ、アンタたちなら大丈夫だとは思うけど、気持ちだって……離れてれば何が起こるか分かんないし」


「……」


「あ、ごめん。脅してるわけじゃないんだよ。でもさ、ね?」


「麻紀……」



ちょっとずつ、分かってきた。


理恵子さんの言っていたことも、麻紀の言いたいことも、今の状況も。



意識したら、どうしようもない動揺が襲ってきて指先が震えた。


ほっぺがヒクヒクして、まぶたの奥が熱い。



「流川……行っちゃうの?」


「え?」


「海外に、行っちゃうのかな?」


「唯衣が聞いてないのにアタシじゃ分かんないよ」


「私のこと置いて?」


「唯衣……」


「どうしよう、麻紀」



流川が行っちゃうなんて。


離れちゃうなんて。



コイビト同士になれて、そんなに時間も経っていないのに。


せっかく、仲直り出来たのに。



……大好きなのに。