「ホントにいないの?」


「うん。流川の部屋にもいなかった」


「アンタたちのケンカがイヤになってさ、自分で歩いて出てったんじゃない? 動くんでしょ? アイツ」


「……まだ言ってんの、そんなこと」


「う~ん」



腕を組んで考えた麻紀は、あっと言ってひらめいた顔をした。



「あの子じゃない?」


「あの子?」


「香穂ちゃんだよ」


「え? 香穂ちゃん?」


「うん。ほら、みんなで集まった時にさ、スゴイ気にいった感じで抱いてたじゃん。流川直人の前だからカワイ子ぶってたのかもしれないけど」


「そういえば……、このカエルカワイイですね、どこで売ってるんですか? とか聞かれたことある」


「持ってっちゃったんじゃない?」


「えええー、うそぉ」



あれは、私と流川の大事なキセキなのに。


ホントにそうだとしたら、いつのまに?



ああでも……。


私がいない時にも来てたみたいだし、ありえないことはないよね。



「電話してみたら?」


「えー? 香穂ちゃんに?」


「聞いてみなよ、とりあえず」



仕方ない。


流川も何も言ってなかったし、あと思い当たる人といえば香穂ちゃんしかいないもんね。



「なんか緊張するなぁ」



しぶしぶ……、香穂ちゃんの番号を押した私。