「……なんなの、これ」



さっきのキス以上の拷問なんですけどっ。



「何ぶつぶつ言ってんだよ。ほら、寝るぞ」



腕に包まれて、ぎゅっとされて。



「いじわる……」



むくれている私の耳元でくすっと笑った流川は。



「なに期待してた?」



口角をあげて、私を見ている。



「べっ、別にっ」


「ふーん」



なんか、すごく恥ずかしい。



「おやすみっ」



流川の胸におでこを押しつけて顔を隠すと。



「お前の体調が万全になるまで待ってやるんだからな」


「?」


「してもいいけど、今」


「?」


「でもたぶん、お前のカラダがもたねーからな。中途半端なチカラでも」


「??」


「オレが全力で抱けるようにしとけ」


「……/////」



もう……。


なんでそういうセリフを言えちゃうかなぁ。



「え、えっち……」


「今ごろ気づいたのか」


「……」


「寒くないか?」


「……うん」



暑いくらいだから。



「おやすみ」


「おやすみ」



というわけで。


また先送りになった私と流川の初夜。


(――;)




でもなんか。


……シアワセだ。



とか思っちゃうのは、


好きなヒトがいて、隣にちゃんとそのヒトがいること。



流川の言ってた言葉、ホントだな。


って、この夜、思った。