「……もうっ。何なの? 自分だけいつもの流川に戻って」



ぶつぶつ。


ひとりごちながらコーヒーを入れる。



「勝手にオレ様復活してんじゃないっつーの」


「何? なんか言ったか?」


「……別に」



ぼそっとつぶやいてカップをテーブルにのせると、流川はカラダを起こした。



「明日は行けんのか? 学校」



――こくん。



「無理すんなよ」



――こくん。



「またそれか。口がねーのか、お前は」


「……」


「ま、いい。好きなだけそうしてろ。今のうちに」


「……?」



足を組んだ流川は、やけに落ち着いてコーヒーを飲んでいる。



……妙だ。



ガラス窓に映る流川の姿を見ながら自分もカップを持ち上げたとき。




――ピンポーン……




誰かがやってきた。